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2019-06-10 15:35:00

有効例を示した椎間板ヘルニア・坐骨神経痛治療の一症例

 

作成:恵比寿堂鍼灸院(東京地方会)
    
はじめに

 椎間板ヘルニア起因坐骨神経通患者に対し、環跳穴による特殊鍼法を施し、顕著な改善を示す事をすでに学会報告をしているが、今回、手術適用と診断され、巨大ヘルニア患者が急速にSLRおよびペインスコアが改善した症例および初回・数回にて軽減した症例につき報告する。


症例および方法

症例?患者男性・年齢22歳、腰椎椎間板ヘルニア、歩行時痛など間欠性歩行を示し、来院時徒手挙上テスト(SLR)30度を示していた。
診断にあたったK労災病院では巨大ヘルニアで早期に坐骨神経痛を改善したければ手術をするよう薦められていた。
本人は7月企業就職のため、できるだけ早期に治すよう懇願した。来院時からすでに下肢痛がきてから3ヶ月を過ぎており(5/7日来院、下肢痛発症2月初旬)他の保存療法に適応を示さなかった。
左記患者に対し、患側の環跳穴に3寸3番ステンレス鍼を足先に得気がくるまで刺鍼し、マイナス極として低周波鍼通電した。
このとき神経パルスになるように十分注意を要する。神経パルスになれば神経の走行に沿い足先に律動がしょうじる。
通電後、患者をうつ伏せとし、障害夾脊穴・棘間傍点に対し、1寸6分ステンレス鍼を約2センチほど刺入し、得気を生じたのち低周波鍼通電した。

治療初回でペイン10→6、SLRはほとんど改善しなかった。
治療6回目でペイン10→3、SLR30度→60度へと大きく改善した。治療期間は2週間計6回で略治。


 症例2
 患者33歳男性、腰椎椎間板ヘルニアと診断。つえをついて歩行困難な状態で来院。右坐骨神経痛、SLR30度で腱反射減弱、強い夜間痛があり、こと朝方の痛みは
強烈であると話す。歩行時激痛が右下肢および第1・第2指、崑崙穴周辺にきていた。順○医大では悪化すれば手術も必要検討と説明していた。

上記患者に対し患側側臥位にて環跳穴を独自の方法にて取穴し(陰極)、崑崙穴(陽極)とし1Hz低周波鍼通電10分間施術した。取穴においてはなによりも正確さが重要であり
かならず神経パルスになるよう通電中下腿に律動生じているのを確認した。通院間隔は週2回、期間は1ヶ月。
 ペインスコア初回
   10→4、SLR30度→45度
 
 治療初回でつえがいらなくなり同僚に驚きの報告をしていただいている。
 8回治療した段階で挙上テストSLRは健康平均人と同程度に改善し下肢痛は消失したが崑崙穴に若干の圧痛残した段階で略治。来院するごとに坐骨神経痛は軽減していき単なる自然治癒とは到底考えられない。
整形外科書やその他出版物を拝見するに椎間板ヘルニアはもともとなにもしなくとも3ヶ月自然治癒するのが大勢であるといわれているが、来院した段階で3ヶ月はゆうにすぎても激痛が治まらない患者が圧倒的に多いので疑問をもっている。来院患者のほとんどは医療機関などですでに牽引・投薬などすでに数ヶ月おこなっても軽減してない例が気になる点である。

第51回全日本鍼灸学会にて、結論としてヘルニアの圧排レベルに応じて有効性はどうかについて発表したが、巨大ヘルニアで手術適用と診断され各種神経ブロック療法を行うも奏効しない患者に対し施術するも有効性が確認される場合が非常に多くあるので今後おって報告する。


 症例3
 患者28歳女性:腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛。SLR50度程度で臀部に激痛が瞬間的にくる。歩行時痛、座位にて症状悪化。こと便座にすわるとき非常に強い痛みを憶える。
 臀部から下肢(S1領域)に坐骨神経痛。半年前から下肢に症状があらわれ、牽引投薬の治療継続するも症状改善なし。少し前に近所で鍼治療を
受けるもまったくかわらなかった。
 診断した病院からはヘルニア塊が巨大であることを説明され、仙骨ブロック2回、硬膜外麻酔2回受けるも初回若干かるくなったのみですぐ症状の再発まねいた。
 当該患者にたいし、女性ということもありDAスティックによる一般的な取穴法では正確に得気を得ることが難しいのでこれも上記同様独自の取穴法にて環跳穴に刺鍼。
12分間1HZにて低周波鍼通電した。
 治療直後効果確認のため、立位になったところ初回で臀部痛ペインスコア10→1。臀部痛は顕著に症状消失したが、下腿にまだズキズキしているので、再度取穴し5分間通電したところ、下肢ペインスコア10→4まで激減した。
 本日3回目問診したところ非常に足が軽くなっているので喜んでいる模様である。下肢にズキズキした痛みはない模様である。便座にすわっているときもすでに症状悪化する
ことはない、歩行時若干神経痛がくる程度まで改善した。通院期間は5日間毎日治療で略治とする予定である。


症例4
 患者女性38歳・腰痛および腰椎椎間板ヘルニア、安静時痛・座位30分にて下肢しびれがある。横になっていて安静にしていても右坐骨神経痛がくる。
SLRは60度近くになると臀部の痺れ感が増強する。
 昨年10月にMRI撮影し椎間板ヘルニアと診断される。その後投薬・牽引・整体などへ半年程度通院するも若干しびれが軽くなる程度で常時じくじくする
神経痛は治らなかった。当室で治療を開始するまでおおよそ9ヶ月近く経過していた。

 左記患者に対し環跳穴鍼麻酔を施術、治療直後足を伸ばしてもらい、改善されたか否かを確認したところまったくしびれ感が消失していたので驚いていた。
初回治療で略治。
 また挙上テストをしたところ臀部の痺れの増強もなかった。当該患者のMRIを参考までに掲載する。当初で治療を受けるまでに整体などで臀部のコリなどほぐしても一向に改善に向かった形跡がないので
梨状筋症候群ではないと考えている。

初回で非常に奏効した点につきMRIを確認したところ、ヘルニア圧排レベルが軽度であったことが幸いした。矢状面T2強調画像にて腰椎4番ー5番目に低信号領域(椎間板の変性)
および軽度の圧排があることがおわかりできよう。
 坐骨神経痛の痛みはヘルニアの圧排レベルには必ずしも比例関係にはならず、しかも軽度レベルだからとて、最適な治療法をほどこさなければ長期にわたり症状に苦しめられよう。

症例5
 患者男性29歳、椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛との診断
 発症からの経過:1997年以来、右坐骨神経痛が消退せずここ5年来症状がつづいていた。常に右腰に鈍痛があり、たまに激しい痛みがある。痛みが増すと右足の感覚がなくなるとの問診内容である。SLR-、神経痛が緩和する姿勢はないようである。通常周期的に症状の緩和を見ることが多いが、この患者の場合そうでないようである。
 父親の紹介にて当所へ来院。
平成14年9月7日初診にて坐骨神経特殊通電鍼法にて施術、治療直後軽くなったと話す。第2診目10日、問診すると非常に軽くなりどのような動作でも神経痛がでにくくなったが、まだ若干違和感が右臀部に走ると訴えていた。
 経過良好につき第2診目で水中歩行など自主的なリハビリをすすめる。


時折、上記患者のように5年来、あるいは7年来坐骨神経痛をわずらいながらも、数回症状消失することが時々あり、実施してみる価値は十分あると思う。